春ソロの進化③live image

18年6月、春畑道哉(以下ハル)は「live image 」に初出演した。オーケストラと共演し、東京と大阪の2公演で「J'S THEME」「Blue Moment」を披露した。
6月14日、東京・Bunkamuraオーチャードホールでのimageを観た。ハルの楽曲がオーケストラとの融合でどのように生まれ変わるのかに注目した。

気になる曲目は、音楽監督を務める羽毛田丈史と打ち合わせて決めた。imageは「癒し系」のコンピレーションとしてソニーミュージックが2000年から発売しているアルバムが起源。代表曲とは言え激しい「jugaur」や新曲の「【Re:birth】」をやらないだろうし、納得の選曲である。ただ、19年のimageでは何と「FULL MOON BOOGIE」を披露している。こちらは観に行かなかったので激しく後悔している。
「J'S THEME」は春ソロツアーでは必ずやるし、「Blue Moment」も16年の春ソロツアーのアンコールで演奏している。羽毛田は「J’S THEME25th ver.」とオリジナルを聴いて、「2曲をミックスしてこのメンバーならではの、この日しかできないアレンジでやりましょう」とハルに提案した。
imageではオーケストラとの協奏により、より壮大なスケールに生まれ変わったようにも感じた。ハルは同じ位置に立ったまま動かず演奏し、TUBEや春ソロの時のようにギターヒーロー然としたアクションは控えた。
だが、ハルはやはりハル。ギターの音色は普段通り。他の出演者と比較すると、ハードロックやヘヴィメタルを出自とするギタリストが、異色の存在だったのは間違いないだろう。
ハルやTUBEを知らない観客はどう感じるのか。TUBEファンとしては異種格闘技に挑む心境でもあった。正直なところ、観客の反応は分からなかったが、演奏を観終わり、ハルの、そしてTUBEのファンであることを改めて誇りに思った私は心の中で叫んでいた。「TUBEのギタリスト、春畑道哉はこんなに凄い人なんです!」
この時、ハルは5月3日に始まったTUBEのホールツアー「TUBE LIVE AROUND 2018 〜燦々・晴レルヤ!Yeah!Yeah!Yeah!〜」の真っ最中。7月21日のファイナルまで、23都市26公演を行う合間に、リハーサルや曲作りもこなしていた。6月28日の神奈川県民ホール公演の翌日は、町田市立陸上競技場で「J'S THEME 25th ver.」のMV収録も行なっている。

前田亘輝の地元、厚木で行われた初日を含め、私もツアーを満喫していた。新曲「夏が来る!」の出来栄えも素晴らしく、ライブを観ている時間は本当に生まれてきて良かったと心の底から感じられる。
ホールツアーは2時間程度だが、近くでTUBEのパフォーマンスを堪能出来るのが最大の魅力。imageも素敵だったが、2曲は物足りないと感じたのもまた、事実である。
ハルはimageで出会いや発見があったという。fenderのインタビューでは「オーケストラと共演したのがきっかけで、今までと違うアレンジの進め方を思いついたり、挑戦したりするようになりました」と語っている。
19年にリリースしたアルバム「continue」に収録した「東京classical」はimageにインスパイアされた。「オーケストラとの共演がきっかけで、こういうアレンジがやってみたくなったんです。いろいろな楽器が次から次へと入っていて、贅沢な楽器の使い方をした曲ですね」
imageをきっかけに、コラボレーションにも挑戦した。アルバム「continue」のオープニングナンバー「Every day is a new day(feat.根本要【Stardust Revue】)」は、根本がサビのメロディを歌っている。
「ヘミングウェイの「老人と海」の一節をタイトルにするのはどうかと思っていたら、サビのメロディーが出てきたので、これを広げていきました。要さんに歌ってもらって、すごくポジティヴな曲になったので、オープニングナンバーになったんです」
imageに出演したバイオリニスト宮本笑里との出会いも、コラボレーションに発展した。